タツノオトシゴ

ナンノクロロプシスの培養

❏ アルテミアの餌ナンノクロロプシス

海洋性クロレラと言われているナンノクロロプシスは、アルテミアや海洋性ワムシの餌として最も優れている。 ナンノクロロプシスは、2~5ミクロン程の大きさの植物プランクトンで、海をただよって光合成をしています。

ナンノクロロプシスは、主に稚魚養殖で用いられています。、養殖業者向けに販売されています。タツノオトシゴの餌の成分で重要な脂肪酸の含量は約30%、脂肪酸中EPAが約35%の割合で含まれているので、アルテミアやワムシ(シオミズツボワムシ)を飼育するために必要なエサです。

ナンノクロロプシの培養(バケツの中は小型の水中モーター)

❖ ナンノ培養のポイント

☑ 蛍光灯で24時間照射する。1日7時間の日照時間の4倍である24時間で効率よく培養するが、夜だけタイマーで消灯しても問題はありません。

LED(白昼色:16W以上が望ましい)でも可能であるが、同じワット数なら蛍光灯の方が良いようです。一度、赤・青の光が照射される植物用のLEDを利用しましたが、ナンノの培養濃度が低かったので、白昼色のLEDの方が培養に向いています。ペットボトルを利用する場合は、光は上からでなく横に当てた方が効率が上がります。

また、屋外の気温が10~26℃の範囲なら外に容器を置き、エアレーションなし(多少の凝集は仕方ない)で、ラップ(雨対策)を張って太陽光で培養する方法があります。手軽で早く培養できるので(天気に左右されますが)手間がかかりません。

☑ 海水の素を使って培養する。塩分濃度は、汽水から海水の濃度の範囲なら問題なありません。但し、汽水で培養した方が雑菌が繁殖しないのでよく育ちます。
また、海水濃度よりも濃い塩分濃度になると全滅するので、汽水が無難です。また、水槽内の海水は雑菌があるので利用しないで下さい。

¶ 塩分濃度のポイント
Ⅰ.最適な塩分濃度2.5%( 比重 約1.18)が効率よく培養できる
※ 塩分濃度が2%以下になると死滅しますので注意してください

¶ 理想の温度
理想の温度は10~27度。30度を超えてくると著しく凝集しするので気を付けて下さい。夏場は、小型(USB接続)扇風機を付けると5℃程温度がさがります。冬場は、ヒーターを付けた水槽の中に容器(小さい水槽)を入れて培養して下さい。
(自宅では、ヒーターを付けた水槽で直接培養していますが。特に問題なさそうですが。)

¶ 凝集について
エアレーションをすると水流ができてナンノクロロプシスの凝集予防になります。大量培養をする時は、水槽に20W以上のLED(赤・青の植物育成用)を設置して、塩だれしないように小型の水中ポンプを利用しています。水温が23℃以上から凝集するようです。

¶ 培養液の配合比
・硫酸アンモニア   10
・過リン酸石灰    1.5
・肥料用有機金属錯塩 0.5
 (微量要素: 鉄、マンガン、亜鉛、コバルト)
※ 施工肥料は10,000倍程に希釈する

硫酸アンモニアのpHは中性。過リン酸石灰は、酸性なので施工肥料は、水道水のpHは酸性に傾きます。しかし培養していくと(数日後)pHが 11位になります。。硫化アンモニアが石灰と反応してアンモニアが発生し、アンモニア水(pHは 11)ができたようです。尚、水道水(カルキ抜きをしない)でも培養は可能です。

¶ 理想のpHは、9.5pHが8を切るとナンノクロロプシスは死滅するので、9.0以上をキープするようにします。培養時の施工肥料のpHは8強ですが、培養が進むとpHは上がってきます。

培養をスタートして10~14日程度でナンノクロロプシスは最高濃度になり、冷蔵庫で1ヶ月は保存ができます。また、冷凍すれば培養できなくなりますが、長期の保存(3~4か月程度)が可能になります。ワムシや、アルテミアの餌として、濃縮クロレラ(淡水)を与えることも可能ですが、クロレラは、脂肪酸中EPAが含まれていないので、ワムシやアルテミアの栄養補給用の餌には向いていません。
ナンノクロロプシスが潤沢に培養できれば、ワムシ、アルテミアの餌が確保できるので、タツノオトシゴの生餌も確保できることになります。

たくさんのアルテミアを3週間飼育するために、現在はベランダにバケツを置いてナンノを培養しています。バケツの中には水流ポンプを入れてます。水流を下に向けないとナンノが沈殿してしまいます。また雨の日が多いと安定して培養できませんが、手っ取り早く大量に培養できるので助かります。