サンゴの調子を上げる

サンゴ(LPS)の共肉が、しぼむ原因はリン酸塩?

バブルコーラルの共肉が購入の翌日にしぼみました。その原因は、リン酸塩の増加と思われます。サンゴの飼育では、温度や塩分濃度、アンモニア、硝酸塩などが管理されていることが多いのですが、リン酸塩の増加に対しては放置されがちです。

バブルコーラルとクサビライシの共肉がしぼんでいます。原因を調べましたが、塩分濃度も、温度も問題ありません。また、アンモニアや硝酸塩も問題有りません。またバブルコーラルは、強い光がだめなようなので、LEDライトから遠い場所に置いてみました。それでもサンゴのの共肉が膨らみません。

砂に付着した シアノバクテリア

原因として考えられることは、リフジウム水槽に赤黒いシアノバクテリが付着していることをヒントに、リン酸塩の増加ではないかと思いました。リン酸塩が多くなると、水が栄養豊富になりコケやシアノバクテリアが発生するのです。

コケやシアノバクテリアの栄養でも、サンゴにとっては、有害物質です。サンゴが増殖する時に、大量のカルシウムが必要なのですが、リン酸塩はサンゴのカルシウムとむずびついて、サンゴの成長を阻害するのです。リン酸塩は、バクテリアが排泄物や餌の残ったものを分解する時に発生します。魚を飼育する場合、リン酸塩の発生は仕方ありません。抑える方法は幾つかあります。

サンゴ(LPS)を飼育する時の水質管理では、硝酸塩よりも有害な物質なのはリン酸塩です。海水魚とサンゴを一緒に飼育する時に、リン酸塩を除去することで、サンゴをより長期的に飼育することができます。

早速、底砂やろ材を掃除しました。次に下記に紹介する方法で、リン酸塩を除去しました。その結果、翌日にバブルサンゴの共肉が幾分膨らんでいました。

また、サンゴの共肉がしぼむ他の要因では、ケイ酸塩の増加があります。ケイ酸塩は、水道水に含まれているいてサンゴの有害物質です。

リン酸塩について:
主に海水魚に与える餌の残りや、排泄物から発生いたします。リン酸塩が増えるとコケや、赤黒いシアノバクテリアが増えるだけでなく、サンゴの骨格を形成するのを阻害することがわかっています。

ケイ酸塩について:
水道水に含まれています。水が蒸発すると水槽内に残って徐々にケイ酸塩の濃度が高くなっていきます。ケイ酸塩が増えると茶ゴケが発生するだけでなく、サンゴの骨格の形成を阻害します。

リン酸塩を無くす方法:
 ① 水を定期的に変える(水槽の底砂を掃除する
 ② カルシウムリアクターを設置する
 ③ 石灰水でリン酸塩を中和する

底砂の掃除

①の水換えは、水質管理の基本です。海水は手間とコストが掛かるので抑えたいものでが、先ず最初に(絶対)行うことは、水替えと水槽の底砂を綺麗に洗浄することです。次に②のカルシウムリアクターを使えばいいのですが、高価です。ここでは手軽に手に入る石灰水(水酸化カルシウム)を使いリン酸塩を除去する③の方法を紹介いたします。

リン酸塩を除去するだけなら、アクアリウム用のリン酸塩除去剤を使うのがいいかも知れませんが、今回は低価格にできる方法として、ホタテ貝の殻から作ったカルシウム(食品添加物)を使いました。

ホタテカルシウムの溶液(石灰水)を水槽に入れてリン酸を中和させます。沈殿物(リン酸カルシウム)は、プロテインスキマーが排出して、リン酸塩が除去されます。石灰水の飽和水溶液は、pH12.4の強いアルカリ性です。入れすぎると硬度が高くなり過ぎますので注意して下さい。

ホタテの殻の成分は、酸化カルシウム(CaO)が殆どですが、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、りん(P)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)などのミネラルも含まれているので、サンゴにとって良い成分です。そして酸性に傾いたpHをアルカリ性にしてくれます。デジタルpH計を設置して、ほぼ毎日投入しています。カルシウムリアクターが欲しいところです。

 

カルシウム添加の方法


水槽にカルシウムを添加する方法
ホタテカルシウムをスプン1杯を 1L程の容器に入れて海水と混ぜます(25℃の水100gで約0.16gで飽和します)。一時間程して、沈殿した液をコックを開いて捨てます。上澄み液を点滴します。点滴の量は、2秒に一滴ほどにしてゆっくりと水槽に入れましょう。急に水質が変化すると、サンゴや魚にいい影響はありませんので、少しずつ投入します。これをpHを測りなあがら週に2~5回行うと効果がでています。

¶ 海水のミネラルを増やす方法
自宅では、大きなヒメシャコガイとシラナミをタツノオトシゴと別の水槽で飼育しています。シャコガイが成長するために海水中のカルシウムやミネラルがどんどん吸収されて、ミネラルが無くなって行きます。ホタテカルシウムでもミネラルを補うことができますが、更にミネラルを増やすために使ったのがサプリメントです。

pHモニター

自宅の近くの薬局でサプリメントを調べるとミネラル補給でいいものがありました。健康食品です。

サプリメント マルチミネラル

 サンゴのミネラルの補給:
サプリメントの成分を見ると、人が必要なミネラルはサンゴ、貝、熱帯魚も殆ど同じなんですね。人間の先祖は海で暮らしていたことがうかがえます。値段も350円程でした。これを水槽に投入することにしました。投入する量は、人間で1日3粒なので60cm水槽の場合、適当ですが一週間に3粒溶かして投入しています。水替えをあまりされない水槽にミネラルのサプリメントを投入するのは如何でしょうか。直ぐには溶けません。気休め程度にはなるかも知れません(自己責任でお願いします。正直、効果は感じられませんでした。)

最後に回復したハナガササンゴの写真(下)を紹介します。ハナガササンゴは長期の飼育が難しいと言われていますが、時々餌を与えることで長期飼育が可能です。お金に余裕があれば、カルシウムリアクターを使って、リン酸塩を除去する方が安全(失敗が少ない)です。リン酸塩の除去は、サンゴ(LPS)の飼育で大きな効果がありました。一度お試し下さい。

購入したてのハナガササンゴのポリープが、一週間ほどでで萎んでしまった。リン酸塩を除去すると一週間後にポリプが盛り上がってきた。そして、一か月後には完全に元気にらりました。他にもLED照明が直接当たらないように場所を移動しました