水槽の管理

手軽でお金を掛けない水質管理(リン酸・ケイ酸・硝酸の除去)

海水の水質の維持は、第一に硝酸塩が増えないようにすることを気を付ている方が多いと思いますが、サンゴの骨格(SPS、LPS等)骨格形成を阻害するリン酸、ケイ酸を取り除くことが必要です。台所で使われる「みりん」と「スチールウール」使って、手軽でお金をを掛けない水質管理を行う方法をご紹介いたします。

長期にサンゴの飼育するためには、低栄養塩の水質を維持することは必須条件です。また、サンゴと熱帯魚を一緒に飼育されて高栄養塩にお困りの方の参考になれば幸いです。

¶  取り除きたい3つの栄養塩
① 硝酸塩(NO3)ミドリイシ1~2ppm以下、主なソフトコーラル10ppm以下
② リン酸塩濃度 0.2 ppm以下
③ ケイ酸塩濃度 1 ppm以下

硝酸塩・リン酸塩・ケイ酸塩、は、コケを発生させる成分でもあり、この3つは海水で取り除きたい栄養塩です。アクアリュウムでは、浄水器を導入したり、添加剤・吸着剤を投入することが一般的です。

¶  栄養塩発生の原因と有害について
① 硝酸塩
水質の悪化は、最初に海水魚に与える餌や糞から有害なアンモニアの発生から始まります。バクテリアの働きでアンモニアは、亜硝酸塩に分解され、最終的に比較的毒素が弱い硝酸塩に変化して残留します。毒素によりサンゴや魚にダメージを与え、濃度が高いと死に至らしめます。

② リン酸塩
主に海水魚に与える餌に含まれるリンが原因で発生します。青コケ、シアノバクテリアの原因になり、サンゴの骨格の成長を阻害します。

③ ケイ酸塩
主に水道水に含まれています。茶ゴケの原因とされ、サンゴの骨格形成を阻害します。

¶  栄養塩の対策
一般的な方法
・ 水換え(ろ材の洗浄)で、栄養塩濃度を薄める
・ 吸着剤・添加剤を入れて栄養塩を除去する
・ 大型プロティンスキマーの設置で栄養塩の発生を防ぐ(ケイ酸塩以外に有効)

栄養塩を取り除くために、こまめに水換えをすることで栄養塩濃度を薄めることができますが、人工海水の素が必要なことから、手間とコストを考えると、水換えの回数は減らしたいものです。

更に、浄水器(逆浸透膜フィルター)で不純物のないRO水を作り、水換えするのがベストな選択ですが、浄水器のコストが高いことと、RO水を作る時間が長いことを考えると、「そこまでやりたくない」と思う方が殆どでしょう。
自宅では、トレビーノを使ってみましたが、一部の塩素を取り除く程度で、栄養塩を取り除くことができなかったので、アクアリウムでは、殆ど役に立ちません。

吸着剤を投入する方法です。先ず、硝酸塩を取り除く方法では、リフジウム水槽を設置して海藻に硝酸塩を吸収させる方法もありますが、手軽に硝酸塩を取り除くのは、添加剤の投入が即効性がり有効です。

¶ 硝酸塩を除去する方法
レッドシーのNO3:PO4-Xが有名です。この商品は、バクテリアの餌になり、バクテリアが硝酸塩とリン酸塩も同時に取り除いてくれる仕組みです。

リン酸塩と硝酸塩を吸着したバクテリアを取り除くためにプロテインスキマーが必要になります。更に、バクテリアの増殖で酸欠になることを防ぐ働きもあります。硝酸塩が多い水槽では、バクテリアがたくさん増殖するので、一次的に水が白濁することがありますが、半日~1日で透明な水に戻ります。

本みりん

NO3:PO4-Xと同じような成分があるのが、「みりん」です。糖分、アミノ酸、アルコール等がバクテリアの餌になります。みりんの活用に関しては、YouTubeやWebサイトで紹介されており、何れも効果があることが報告されています。みりんの使い方は、水槽に数日に分けて数CC~10CCを投入するだけです。勿論プロテインスキマーも合わせて利用します。

¶ リン酸塩を除去する方法
リン酸は、アンモニアを分解する過程で発生します。pHを下げる原因になるだけでなくサンゴ(LPS)の骨格形成を阻害します。家庭で利用する「ホタテカルシウム」をつかくと除去することがでいます。

水槽のアンモニアが分解されると、硝酸塩やリン酸塩で海水が酸性に傾きます。海では、pHの変化が殆どないため、海水魚は淡水魚よりもpHの変化に弱いです。(海水が酸性に傾くと、粘膜が溶かされて魚のの体内に病原菌が入りやすくなります)そのために特にリン酸塩の管理に気を付けることが大切です。

「サンゴ(LPS)の共肉が、しぼむ理由はリン酸塩?」のサイトをご参照

 

¶ ケイ酸塩を除去する方法
吸着剤が有効です。粒状アルミニウムオキサイドを原料とした 「カミハタ シリケイトリムーバー」は、ケイ酸塩を吸着します。
また、粒状の酸化鉄を原料とした「アクアギーク コンティニュアムアクアティクス キャプティブフォス Fe 600g」では、リン酸塩やケイ酸塩の両方を吸着します。

原料が、アルミと鉄の2つに分かれています。鉄イオンはリン酸塩やケイ酸塩を吸着する作用があります。他のWebサイトでは、釘を使った例が紹介されていますが、自宅では表面積が大きくて100円前後で販売されている「スチールウール」で、ケイ酸塩を使って除去することにしました。スチールウールは適量をハサミで切って小分けしてフィルターの物理濾過(ウールマット)内に入れると、1日で錆びが出て鉄イオンが水中に溶け出します。スチールウールは一週間で錆て溶けてしまいます。小さく小分けして適量を少しずつ入れるのが良いようです。

スチールウールを敷いたオーバーフロー濾過のウールボックス(1日で錆びて効果を発揮します)

鉄分は、光合成に必要な成分の一つで、有害ではありません。(多すぎると弊害があるかもしれませんが)プロテインスキマーで鉄分は殆ど除去されます。1~2ヶ月程経って錆たスチールウールは、ウールマットと一緒に交換します。

まとめ
栄養塩を除去するためには、こまめな水換えで薄めることが基本ですが、手間がかかることや、人口海水の素が高いので、水換えの回数は減らしたいものです。そのために高価な添加剤(吸着剤)を継続して購入することは本末転倒です。維持費がかかると、アクアリウムを続けることができません。

添加剤・吸着剤の代替品として、調味料のみりんと、日用品のスチールウール(釘等でもOK)を使うだけで亜硝酸塩・リン酸塩・ケイ酸塩を低価格で簡単に除去することができます。

※ このWebサイトの内容を実施される方は、自己責任でお願いいたしします。
 硝酸塩、リン酸塩除去は、こちらの方法でも可能です。
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