海水魚が白点病になる原因は、pHが下がった時や、比重が高くなった時(塩分濃度が高い)及び、温度が大きく変化した時などです。魚にストレスがかかることで免疫が弱くなった時に白点病が発病しやすくなります。
¶ 白点病について:
海水魚は、淡水魚に比べると病気になると直ぐに死んでしまう傾向が強いです。同じ水槽にサンゴやエビ、ライブロック(バクテリアが生息)などを入れていると、薬品での治療が難しくなります。予備の水槽があれば隔離することができますが、元の水槽に入れると白点病を再発する恐れがあります。
白点病は、海水魚と淡水魚を問わず避けられない病気です。魚の表面に白い点が出てきます。また目が濁ってくるのも特徴です。海水魚が死亡する大きな要因にもなっています。白点病の寄生虫は、業界では海水、淡水を問わず白点虫と呼ばれています。実際には海水と淡水の白点虫は種類が違います。
白点虫は、海水魚のヒレや体の表面に付着して養分を吸い取っています。ある程度成長すると、魚から一旦離れて、数日後に数百個の仔虫になって、再び寄生をすることを繰り返して伝染します。治療は、隔離したとしても水槽に白点虫が増殖しているので、魚を戻すと意味がありません。白点病の治療は、飼育している水槽で治療しないと解決しません。
¶白点病の原因
海水魚が何らかの理由で、弱った時に白点を出すことが多いです。
・水槽の温度差(5℃前後)が大きい(環境変化のストレス)
・ろ過がきいていない(有害物質のストレス)
・水質変化(大量の水替えによるストレスなど)
・pHが低い(7.7以下)
・比重が高い(1.026以上)
海水魚の白点病は、繊毛虫の一種のクリプトカリオン・イリタンスが寄生することが知られています。クリプトカリオン・イリタンスは、25℃から30℃の高水温を好みます。一方で、淡水魚は高温に弱い白点病(別の原因)なので対処方法が異なるので気を付けましょう。
海水魚の白点病の対処方法は多いのですが、これで必ず治ると言う特効薬はないようです。自宅では、殺菌灯を設置しています。白点病の予防になりますが、ライブロックやサンゴ砂に付着している白点虫を除去することができません。海水魚の白点病の原因になるクリプトカリオン・イリタンス(繊毛虫類)は、塩分濃度が濃いい分には平気ですが、薄いと死にます。
自宅の海水魚が一斉に白点病になったのは、出張で数日 家を空けた時に水槽の水分が蒸発して塩分濃度が濃いくなったことで、海水魚が弱ってしまい殆どの海水魚が白点病になりました。重症の白点病では、粘液が魚の表面から出ています。この時にタツノオトシゴに白点は見えなかったのですが、粘液がでて弱っていたので別の病気になってたと思います。尚、タツノオトシゴは白点病になり難いです。
¶ 白点病の対処方法
白点病のクリプトカリオン・イリタンス(通称;白点虫)は、ライブロックやサンゴ砂の表面に居ます。砂の掃除や、水流を作り淀みを作らないことで予防します。
■ 治療の前提
1.淀みを作らない(水流を作る)
2.水槽を清潔にする(砂の掃除)
3.魚にストレスを与えない(きれいな水)
海水魚が元気な時には、免疫で白点病になり難いのですが、弱った時に白点病になることが多いです。軽症なら何もしなくても数日で治ることがあります。重症の場合や、複数の魚が白点病になった時は、水質を安定させることが必要です。そのためには、水替えを行い、適切な環境にして海水魚のストレスを少しでも開放することを心掛けます。
治療の前に、pHを測定して7.5以下になっている場合は、リン酸塩が増えている可能性が高いです。水替えに加えて、リン酸塩の除去を行ってみて下さい。pHを正常値にしないと、白点病の治療をしても効果がありません。海では、pHの変化が殆どないため海水魚は、pHの変化に弱いのです。(水が酸性に傾くと、粘膜が溶かされて魚のの体内に病原菌が入りやすくなります。)
■ 白点病の主な治療方法
1.淡水(塩分濃度0)に魚を2~3分ほど入れ、後は徐々に海水濃度を上げる。浸透圧で、白点虫が死滅します。
2.水槽の温度を徐々に下げて20~18℃にする。低温に弱い白点虫を死滅させます。
3.薬で治す方法では、海水魚を隔離するか、混泳している生き物に影響がでない薬を投薬します。
¶ 白点病とよく似た症状の病気
リムフォシスティス病と、ウーディニウム病があります。リムフォシスティス病は、ストレスと水質悪化が原因でウイルスに感染する病気です。ヤッコやクマノミが罹ることが多いのが特徴です。症状は、ヒレやエラの先端に白い点が現れます。体の表面にも白い点がでていますので、白点病との区別が難しいです。
白点病との違いは、白点が移動しないことと、ヒレにゼリー状のかさぶたができることです。白点病同様にポピュラーな病気です。白点病に比べると死亡する率は低いようです。治療方法は、淡水浴で治ることが多いです。また、海水濃度を1.020以下にするとリムフォシスティスが居なくなりますが、サンゴなどに影響が出ますので注意が必要です。
ウーディニウム病は、白点でなく胡椒のような点が体表に現れます。寄生虫がエラに付着するので白点病と同様に怖い病気です。治療方法は、白点病と同じです。自宅で試したのは、オキシドール(過酸化水素水)の投入です。
¶ 白点病の薬について
1.銅イオンや硫酸銅を使う
※ 最も効果がありますが、エビ・カニ・サンゴ・イソギンチャクが死亡します
2.マライカイトグリーンを使う
※ 銅イオンより弱いのですが、ろ過バクテリアやサンゴに影響がでます。エビは死亡します
3.オキシドールを使う
※ 他の生き物に影響がありません。効果は銅イオン程大きくありませんが、水槽の中に投薬できることがメリットです
投薬の期間は、白点虫は4日程度で魚から一旦離れるので、最低でも4日程投与を続ける必要があります。薬品を使わない治療では、淡水浴療法があります。この方法は一時的に隔離する水槽を用意して、淡水(真水)を入れます。温度差がないようにして、カルキ抜きをします。そこに海水魚を3分~5分程度入れます。綿棒で、軽く白点虫を落とすと効果的です。そして元の海水の水槽に戻します。
白点病の様々の対象方法の中で、オキシドールの治療が安心です。その理由は、他の生物の影響がが少ないことです。その根拠として、白点病の薬としてオキシドールと同じ原料の過酸化水素が販売されていることで安心感があります。
実際にオキシドールを投入するとフレームスキャロップ(ニ枚貝)や、マメスナは一次的にしぼみますが、時間が経つと開いたことから、特にオキシドールに問題(副作用)はなさそうです。他のサンゴやエビは全く元気です。また、オキシドールは、水槽の好気性バクテリアにも問題はありません。
¶ オキシドールの利用
60cmの水槽に、毎日一回キャップ2杯弱を入れて7日続けました。残念ながら重症(動きが鈍くなった)だったマンダリンフィッシュは★になりましたが、テングカワハギは、ヒレの白点が減少したような気がします。只、ある程度は水槽のクリプトカリオン・イリタンスが減ってくれたのではないでしょうか。オキシドールで水槽がリセットできたと考えて、新しい海水魚を入れています。
(一週間後の結果は、残念ですが新しい魚も白点病になりました。対処方法として殺菌灯を24時間灯火して、更に効果を大きくするために殺菌灯を通過する水流を遅くしました)
新しい海水魚は、ヒフキアイゴ(スズキ目・アイゴ科)を入れることにしました。白点病に強く、タツノオトシゴの混泳や、サンゴの相性もいいようです。白点病が蔓延している水槽では、白点病にかかりやすいハギ類やハタタテハゼ、マンダリンフィッシュの飼育は敬遠した方がよさそうです。
テングカワハギは、現状維持(白点病のまま)ですが、元気でエサを食べています。元気な個体は自然に回復できると信じています。
尚、水槽のパイプに付着していた青黒いコケは、オキシドールを投入してから5日程で消えました。またパイプの汚れも白くなっていました。オキシドールの効果は、コケの駆除や、漂白作用もることがわかりました。
¶ オキシドールは海水魚やサンゴに本当に無害なのか?
家庭用のオキシドールは、過酸化水素を約3%に薄めた溶液が販売されています。オキシドール(性酸素の一種)は、水中で分解されるまで生物に若干の毒性を持ちます。分解されると、無害の酸素と水になります。一般的な用途では、殺菌、漂白に利用されています。
オキシドールは、細菌やウイルスを殺滅しますが分解するので、効果は持続しません。一方で、海水魚やエビ、貝、好気性バクテリアなどには無害です。また、オキシドールは分解後に水と酸素になりますので、水槽に有害物質を残しません。このことで白点病の治療を安全にできるのです。
オキシドールが海水魚などに無害な理由としてあげられるのは、酸素呼吸をする生物は、活性酸素を速やかに分解するカタラーゼ(酵素)を細胞内に持っているからです。カタラーゼは、酸素呼吸をするすべての生物が持っています。サンゴには、光合成をするものもいますが酸素呼吸をしています。そして、アンモニアを分解する好気性バクテリアも、酸素呼吸をしているので、カタラーゼ(酵素)を持っています。
¶ 紫外線殺菌灯(UV除菌ランプ)の利用
お金に余裕があればUV殺菌灯の利用がいいです。実は自宅ではUV殺菌灯を7時間だけ照射していました。今回の白点病の終息が遅いので、ポンプの水流を遅くして、24時間照射することにしました。UV殺菌灯は、確実に白点中を殺傷してくれます。
また、オキシドールを多用すると、リフジウムの海藻の成長が遅くなった気がします。また、シアノバクテリアがいなくなりました。オキシドールが絶大な効果があれば、UV殺菌灯を外すつもりでしたが、継続することににしました。
¶ 白点病の最後の対処方法
白点病の対処方法は、魚を治すことではなく水槽の環境を変えることです。ショップで白点病がないのは、ベアタンク(底砂がない水槽)にしているからです。白点中は底砂に生息しています。思い切って当面は、ベアタンクで飼育することがいいでしょう。
また、有害菌類除去抑制剤の「白点キラー」が有効との報告があります。
■最後に、
現在の自宅の水槽は、白点病とは全く無縁です。最初に白点病になった切っ掛けは、台風で3日停電したことで水質が悪化した時です。その次は、人的なミスでオーバーフローの濾過槽のヒーターの温度が異常に上昇して、ろ過材のバクテリアが死滅したこでした。
にわかにpHや温度、比重を最適に調整するだけでは白点病は改善しませんでした。時間を掛けて海水(ろ過材)のバクテリアが増えることで、水作りが完了することが必要です。白点病になると、水質は直ぐに改善しないので、当面は魚は白点病に強いものを投入して、3ヶ月程の期間を開けてから、好きな魚を投入するのがいいように感じます。
白点病から3ヶ月程して水質が改善さした頃に、以前白点病になったてニシキデグリを、新たに3匹を投入しました。とても大変元気で泳いでいます。エサもたくさん食べてくれます。白点病は、水質の悪化(海水のバクテリアがバランスを崩すこと)が根本的な原因です。